文學界新人賞の歴代受賞作や内容の傾向と芥川賞との共通点やダブル受賞を調査

文學界新人賞の画像

2021120日は芥川賞と直木賞の発表日です。

直木賞2020下半期の画像直木賞164回2020年下半期の発表日時やノミネートと受賞作品予想芥川賞の画像芥川賞(第164回2020年下半期)の発表日時や受賞候補者とノミネート作品

そのうち、芥川賞といえば、純文学を対象にした文学賞として認知されてきました。

しかし、こういった非公募の文学賞以外に、だれでも応募できる公募の文学賞も存在します。

そして純文学を対象にした公募の文学賞のなかでも、とくに有名なものが文學界新人賞なのでした。

そこで、ここでは、文學界新人賞について見てまいりたいと思います。

はたして、文學界新人賞とは、どういった文学賞だったのでしょうか。

これまでに文學界新人賞を受賞してきた作品にはどういったものがあったのか、内容の傾向はどうなっていたのか、調べてみました。

また、文學界新人賞と芥川賞との共通点についても、チェックしていきたいと思います。

1.文學界新人賞とは

文學界新人賞は、文藝春秋の公募の文学賞。

文藝春秋の文芸雑誌『文學界』の文学賞で、受賞作は『文學界』に掲載されます。

賞の内容は、賞金50万円と記念品。

応募にあたっての原稿の枚数は、400字づめ原稿用紙で70150枚。

かつては年度内に2回実施されていましたが、2015年度以降は1回となりました。

新潮新人賞、群像新人文学賞、すばる文学賞、文藝賞などとともに、純文学作家志望者の登竜門として知られています。

2.文學界新人賞の歴代受賞作

続いては、これまでに文學界新人賞を受賞してきた歴代作品を振り返ってみたいと思います。

2000年以降だけでも、その数は膨大なものとなっていました。

なお、佳作は省略させていただきます。

2000年度上半期は、受賞作なし。

2000年度下半期は、都築隆広さんの『看板屋の恋』。

2001年度上半期は、吉村萬壱さんの『クチュクチュバーン』、長嶋有さんの『サイドカーに犬』。

2001年度下半期は、受賞作なし。

2002年度上半期は、北岡耕二さんの『わたしの好きなハンバーガー』、蒔岡雪子さんの『飴玉が三つ』。

2002年度下半期は、受賞作なし。

2003年度上半期は、絲山秋子さんの『イッツ・オンリー・トーク』。

2003年度下半期は、由真直人さんの『ハンゴンタン』。

2004年度上半期は、モブ・ノリオさんの『介護入門』。

2004年度下半期は、赤染晶子さんの『初子さん』。

2005年度上半期は、受賞作なし。

2005年度下半期は、中山智幸さんの『さりぎわの歩き方』。

2006年度上半期は、木村紅美さんの『風化する女』。

2006年度下半期は、田山朔美さんの『裏庭の穴』、藤野可織さんの『いやしい鳥』。

2007年度上半期は、円城塔さんの『オブ・ザ・ベースボール』、谷崎由依さんの『舞い落ちる村』。

2007年度下半期は、楊逸さんの『ワンちゃん』。

2008年度上半期は、北野道夫さんの『逃げ道』。

2008年度下半期は、上村渉さんの『射手座』、松波太郎さんの『廃車』。

2009年度上半期は、シリン・ネザマフィさんの『白い紙』。

2009年度下半期は、奥田真理子さんの『ディヴィジョン』。

2010年度上半期は、鶴川健吉さんの『乾燥腕』、穂田川洋山さんの『自由高さH』。

2010年度下半期は、吉井磨弥さんの『ゴルディータは食べて、寝て、働くだけ』。

2011年度上半期は、水原涼さんの『甘露』、山内令南さんの『癌だましい』。

2011年度下半期は、鈴木善徳さんの『髪魚』、馳平啓樹さんの『きんのじ』。

2012年度上半期は、小祝百々子さんの『こどもの指につつかれる』。

2012年度下半期は、守山忍さんの『隙間』、二瓶哲也さんの『最後のうるう年』。

2013年度上半期は、受賞作なし。

2013年度下半期は、前田隆壱さんの『アフリカ鯰』、守島邦明さんの『息子の逸楽』。

2014年度上半期は、諸隈元さんの『熊の結婚』。

2014年度下半期は、板垣真任さんの『トレイス』。

2015年度は、加藤秀行さんの『サバイブ』、杉本裕孝さんの『ヴェジトピア』。

2016年度は、砂川文次さんの『市街戦』、渡辺勝也さんの『人生のアルバム』。

2017年度は、沼田真佑さんの『影裏』。

2018年度は、受賞作なし。

2019年度は、奥野紗世子さんの『逃げ水は街の血潮』、田村広済さんの『レンファント』。

そして2020年度は、三木三奈さんの『アキちゃん』でした。

3.文學界新人賞の内容の傾向

文學界新人賞は、内容の傾向はどうなっていたのでしょうか。

まず、芥川賞を狙ううえでは、もっとも有利とも言われています。

芥川賞も文學界新人賞も文藝春秋の文学賞であることが大きいといえるでしょう。

もちろん、他の版元の作品の芥川賞受賞も少なくありませんけどね。

文學界新人賞を受賞してきた作品の内容も、個性的なものよりも、オーソドックスなものが多数を占めてきました。

4.文學界新人賞の芥川賞との共通点やダブル受賞した作品

文學界新人賞の芥川賞との共通点は、やはり、文藝春秋だけではなく、無難な作品が多いということが挙げられるでしょう。

また、比較的短めの作品が対象となっている点も同じです。

逆に、文藝賞は個性的な作品が多めなことで知られています。

応募をめざす人は、こうした特徴と自分の作風の相性を踏まえた方がいいでしょう。

もっとも、過去の文學界新人賞の受賞作には、石原慎太郎さんの『太陽の季節』、モブ・ノリオさんの『介護入門』など、内容的に話題をさらった作品もありました。

石原慎太郎さん、吉田修一さん、長嶋有さんは文學界新人賞を受賞した後、芥川賞を受賞しています。

このなかで、石原慎太郎さんに関しては『太陽の季節』でダブル受賞という快挙でした。

これだけの作家が後に芥川賞をとっているということでも、文學界新人賞は芥川賞に通じる新人賞であるとも言えそうですね。

たくさんある公募の文学賞のなかでも、とくに有望視されてきた、文學界新人賞。

石原慎太郎さんの『太陽の季節』のように、そのまま芥川賞を受賞したケースも少なくありません。

芥川賞ももちろんですが、文學界新人賞にも注視していきましょう。

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