群像新人文学賞の歴代受賞作や例年の応募数と傾向|落選しても作家に連絡がくる理由

群像新人文学賞の画像

2020120日、芥川賞に宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』、直木賞に西條奈加さんの『心淋し川』が選ばれました。

年に2回の文学イベントだけに、ふだんは読書に興味がない方であっても、注視していた方は少なくなかったのではないでしょうか。

さて、これらのうち、とくに話題になるのが芥川賞ですが、この登竜門として知られる文学賞の1つに、群像新人文学賞が挙げられます。

そこで、ここでは、群像新人文学賞について、見ていきましょう。

群像新人文学賞の歴代受賞作、例年の応募数、傾向は、はたして、どうなっていたのでしょうか。

また、群像新人文学賞の場合、落選しても作家に連絡がくる理由についても、探ってみました。

群像新人文学賞とは

群像新人文学賞とは、講談社の公募の文学賞。

受賞作は講談社の文芸誌の『群像』に掲載されます。

スタートしたのは1958年で、60年以上の歴史を誇っていました。

文學界新人賞、新潮新人賞、すばる文学賞、文藝賞と並び、芥川賞をめざすうえでは受賞しておきたい文学賞として有名な存在です。

なお、群像新人文学賞は、2014年まで、小説部門、評論部門から構成されていたものの、2015年以降、評論部門は群像新人評論賞となり、小説だけが対象の文学賞となっていました。

群像新人文学賞の歴代受賞作

それでは、過去に群像新人文学賞を受賞した歴代作品には、どういったものがあったのかを、じっくり見てまいりましょう。

60年以上の歴史がある群像新人文学賞は、平成以降のみでも、受賞作は多数となっていました。

なお、当選作ではない優秀作は省略します。

1989年度は、当選作なし。

1990年度は、高野亘さんの『コンビニエンス ロゴス』。

1991年度は、多和田葉子さんの『かかとを失くして』。

1992年度は、当選作なし。

1993年度は、当選作なし。

1994年度は、阿部和重さんの『アメリカの夜』。

1995年度は、当選作なし。

1996年度は、鈴木景子さんの『やさしい光』。

1997年度は、岡崎祥久さんの『秒速10センチの越冬』。

1998年度は、当選作なし。

1999年度は、当選作なし。

2000年度は、横田創さんの『(世界記録)』。

2001年度は、萩原亨さんの『蚤の心臓ファンクラブ』。

2002年度は、早川大介さんの『ジャイロ!』、寺村朋輝さんの『死せる魂の幻想』。

2003年度は、森健さんの『火薬と愛の星』。

2004年度は、十文字実香さんの『狐寝入夢虜』。

2005年度は、樋口直哉さんの『さよなら アメリカ』。

2006年度は、木下古栗さんの『無限のしもべ』、朝比奈あすかさんの『憂鬱なハスビーン』。

2007年度は、諏訪哲史さんの『アサッテの人』。

2008年度は、松尾依子さんの『子守唄しか聞こえない』。

2009年度は、丸岡大介さんの『カメレオン狂のための戦争学習帳』。

2010年度は、淺川継太さんの『朝が止まる』、野水陽介さんの『後悔さきにたたず』。

2011年度は、中納直子さんの『美しい私の顔』。

2012年度は、岡本学さんの『架空列車』。

2013年度は、波多野陸さんの『鶏が鳴く』。

2014年度は、横山悠太さんの『吾輩ハ猫ニナル』。

2015年度は、乗代雄介さんの『十七八より』。

2016年度は、崔実さんの『ジニのパズル』。

2017年度は、当選作なし。

2018年度は、北条裕子さんの『美しい顔』。

2019年度は、石倉真帆さんの『そこどけあほが通るさかい』。

そして2020年度は、当選作なしでした。

群像新人文学賞の例年の応募数と傾向

このような群像新人文学賞ですが、例年の応募数や傾向は、どうなっていたのでしょうか。

例年の応募数は、著名な文学賞だけあって、かなりのものとなっています。

2010年度以降では、2010年度は1884編。

2011年度は1721編。

2012年度は1618編。

2013年度は1851編。

2014年度は1746編。

2015年度は1762編。

2016年度は1864編。

2017年度は2016編。

2018年度は2003編。

2019年度は2238編。

そして2020年度は2287編でした。

このように、常時、2000編前後で、増加していました。

傾向は、全般的に見て、実験的な作品が受賞しやすいといえます。

ご紹介した作品のなかでは、後に芥川賞も受賞した諏訪哲史さんの『アサッテの人』が典型的な例であるといえますね。

ちなみに、やはり実験的な作品だった、村上春樹さんのデビュー作の『風の歌を聴け』も、群像新人文学賞の受賞作だったのでした。

群像新人文学賞の落選しても作家に連絡がくる理由

文学賞に応募すれば、受賞者はともかく、落選者には連絡がこないというケースも少なくありません。

しかし、群像新人文学賞の場合、落選しても作家に連絡がくるとのこと。

この理由が気になりますよね。

他の文学賞は分かりませんが、群像新人文学賞は、少なくとも、最終候補者には概ね、当落の連絡が行っているものとみられます。

ところが、連絡が来ないケースもあるとか。

その違いはなんだというのでしょうか?

文芸評論家の榎本秋さんによると、群像新人賞の担当者判断で現時点での作家性や将来性があるか否かによって連絡がくる来ないが決まるということでした。

落選した挙げ句、将来性なしと判定されるのはいたたまれない気もしますが、それを分からせて早めに自分に合った仕事に向かわせるという優しさなのかもしれません。

もしくは、悔しい思いを跳ね返す力を出させるためでしょうか。

このように前向きにとらえて行きたいものですね。

群像新人文学賞の出身者で、その後、成功した人は多数います。

村上龍さん、村上春樹さん、阿部和重さんをはじめ、優秀作も含めれば、島本理生さん、村田沙耶香さんなど。

今回、芥川賞を受賞した宇佐見りんさんは文藝賞出身ですが、群像新人文学賞に引き続き、注目していきましょう。

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