2021年の第41回日本SF大賞の最終候補作が決まって、SFファンや文学ファンを中心に、熱い視線を集めています。
このたび、第41回日本SF大賞の最終候補作に選ばれた作品等は、全部で7つ。
ここでは、そのなかから、伴名練さん編の『日本SFの臨界点』に着目していきたいと思います。
伴名練さんとは、どういった経歴を持った作家だったのでしょうか。
また、編纂ですから、オリジナルではないものの、伴名練さん編の『日本SFの臨界点』が気になりますよね。
そこで、伴名練さん編の『日本SFの臨界点』についても、見ていきましょう。
伴名練さん編の『日本SFの臨界点』は、『日本SFの臨界点恋愛篇』と『日本SFの臨界点怪奇篇』で構成されていますので、それぞれの収録作品、作家一覧、感想も見ていきたいと思います。
1.伴名練の経歴
伴名練さんは、1988年、高知県の出身で、2021年現在の年齢は33歳となっています。
最終学歴は、京都大学文学部卒業という、高学歴だった伴名練さん。
まだ京都大学に在学していたころから、京都大学SF研究会のメンバーとして活躍していました。
そんな伴名練さんは、2010年、京都大学在学中に、『遠呪』によって、日本ホラー小説大賞短編賞を受賞して、作家としてデビューをはたしたのです。
ちなみに、この『遠呪』は、『少女禁区』と改題され、『Chocolate blood, biscuit hearts.』を併録して、書籍『少女禁区』として刊行され、本格的に作家活動をスタートさせたのでした。
以後、伴名練さんは、SFやホラーにおいて活躍していくことになります。
そして2021年、『日本SFの臨界点恋愛篇』と『日本SFの臨界点怪奇篇』からなる、『日本SFの臨界点』を編纂したことによって、同作が第41回日本SF大賞の最終候補作となったのでした。
ちなみに、第41回日本SF大賞にノミネートされた作品としては、伴名練さん編の『日本SFの臨界点』以外にも、菅浩江さんの『歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ』。
林譲治さんの『星系出雲の兵站』。
野﨑まどさんの『タイタン』。
立原透耶さんの『時のきざはし』、「中華圏SF作品の翻訳・紹介の業績に対して」。
そして北野勇作さんの『100文字SF』があります。
これまでに、伴名練さんが発表してきた作品には、ほかに、オリジナルには、「なめらかな世界と、その敵」、「ゼロ年代の臨界点」、「美亜羽へ贈る拳銃」、「ホーリーアイアンメイデン」、「シンギュラリティ・ソヴィエト」、「ひかりより速く、ゆるやかに」からなる、『なめらかな世界と、その敵』。
編纂には、大森望さんとの共著の『2010年代SF傑作選』などといった作品がありました。
2.伴名練の『日本SFの臨界点恋愛篇と怪奇篇』とは
2021年の第41回日本SF大賞の最終候補作となった、伴名練さんの『日本SFの臨界点』。
はたして、どのような作品だったというのでしょうか。
『日本SFの臨界点』は、『日本SFの臨界点恋愛篇』と『日本SFの臨界点怪奇篇』からなります。
『日本SFの臨界点恋愛篇』は、宇宙を舞台にしたもの、セカイ系、異世界を舞台にしたものなど。
一方、『日本SFの臨界点怪奇篇』は、社会問題ネタ、寓話、侵略ネタなど、これまた多彩。
どちらも、ファンならずとも、思わず手に取ってみたい感じの内容になっていたのでした。
3.伴名練の『日本SFの臨界点恋愛篇と怪奇篇』の収録作品と作家一覧
『日本SFの臨界点』の『日本SFの臨界点恋愛篇』と『日本SFの臨界点怪奇篇』の収録作品と作家を、それぞれ見ていきましょう。
『日本SFの臨界点恋愛篇』は、中井紀夫さんの『死んだ恋人からの手紙』。
大樹連司さんの『劇画・セカイ系』。
小田雅久仁さんの『人生、信号待ち』。
扇智史さんの『アトラクタの奏でる音楽』。
高野史緒さんの『G線上のアリア』。
新城カズマさんの『月を買った御婦人』。
石黒達昌さんの『雪女』など。
『日本SFの臨界点怪奇篇』は、中島らもさんの『DECO-CHIN』。
田中哲弥さんの『大阪ヌル計画』。
岡崎弘明さんの『ぎゅうぎゅう』。
中田永一さんの『地球に磔られた男』。
森岡浩之さんの『A Boy Meets A Girl』。
光波曜子さんの『黄金珊瑚』などとなっています。
4.伴名練の『日本SFの臨界点恋愛篇と怪奇篇』の感想
『日本SFの臨界点』は、『日本SFの臨界点恋愛篇』といい、『日本SFの臨界点怪奇篇』といい、タイトルだけでも粒ぞろいといった印象を受けました。
収録作のジャンルも多様で、読みごたえは抜群でしょう。
2021年の第41回日本SF大賞の最終候補作になったのも自然ではないでしょうか。
ほかの候補作も興味深いだけに、伴名練さんの『日本SFの臨界点』が日本SF大賞に輝くのか、注視していきたいですね。
ということで、伴名練さんの『日本SFの臨界点』について、まとめてみました。
オリジナルではなく、編纂ですが、下手なオリジナルよりも魅力的で新鮮ですね。
それでは、他の作品ともども、2021年の第41回日本SF大賞の最終候補作たちを、見守っていきましょう。