芥川賞作家の西村賢太さんが亡くなったという、大変ショッキングなニュースが入ってきました。
『苦役列車』で芥川賞を受賞したことがまだ記憶にあたらしい、西村賢太さん。
まだ若かっただけに、早すぎることで惜しまれてなりませんね。
こうしたことですので、今回は、西村賢太さんについて、取り上げてまいりたいと思います。
はたして、西村賢太さんとは、どのようなプロフィールの作家だったのでしょうか。
また、『苦役列車』のあらすじ、ネタバレ、小説と映画版とはどこが違うのかについても、探ってみました。
それでは、さっそく、ご覧ください。
西村賢太のプロフィール
西村賢太さんは、1967年7月12日、東京都出身。
その経歴は、芥川賞作家としては、あまりにも異色すぎるものなのでした。
西村賢太さんは、父親が強盗強姦事件を引き起こしてしまい、逮捕され、実刑を受けたことによって、その後、両親は離婚してしまい、母子家庭で育つことになったのです。
さらに、中学校卒業後は、高校に進学せず、アパートに住むものの、家賃滞納で強制退去処分を食らい、以後も同様のトラブルを繰り返すことに。
仕事の方も、港湾荷役、警備員といったもので、お世辞にも恵まれたものではありませんでした。
しかし、その一方で、西村賢太さんは、古本屋に通って私小説の読書、研究にはまるようになり、『田中英光私研究』を刊行したほか、みずからも私小説を執筆するようになったのです。
そして藤澤清造の小説に熱中していって、「藤澤清造の没後弟子」と称して、『藤澤清造全集』の個人編集をしたのでした。
そんな西村賢太さんは、2004年、「けがれなき酒のへど」が『文學界』に掲載されたことで、作家として注目されていくことに。
2006年には、「どうで死ぬ身の一踊り」で芥川賞、「一夜」で川端康成文学賞、『どうで死ぬ身の一踊り』で三島由紀夫賞に、それぞれ、ノミネート。
2007年には、『暗渠の宿』で野間文芸新人賞を受賞。
2008年には、「小銭をかぞえる」で芥川賞にノミネート。
2009年には、「廃疾かかえて」で川端康成文学賞にノミネート。
そして2011年、「苦役列車」で、とうとう芥川賞を受賞したのです。
後述しますように、「苦役列車」は、2012年、森山未來さん主演で映画化され、小説に加えて、こちらもおおいに話題になりました。
また、西村賢太さんは、『スタジオパークからこんにちは』、『人生が変わる1分間の深イイ話』、『ナカイの窓』、『アウト×デラックス』、『Qさま‼』、『大改造!劇的ビフォーアフター』など、バラエティー番組にも数多く出演していきます。
しかし、そんな西村賢太さんは、2022年2月5日、まだ54歳という若さだったにもかかわらず、亡くなったのでした。
西村賢太の『苦役列車』のあらすじ
少年の北町貫多は、父親が犯罪者のため、不遇の身で、中学校卒業後は、肉体労働をし、給料は風俗代に使ってしまうという毎日でした。
そんななか、現場にアルバイトとして専門学校生の日下部正二がやって来て、北町貫多は、彼と親しくなることに。
が、彼とも勤務先の先輩ともトラブルを起こし、勤務先を辞めてしまいます。
そして北町貫多はやがて、藤澤清造の私小説とめぐり合うことになったのでした。
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西村賢太の『苦役列車』のネタバレ
北町貫多は作家になり、川端賞を受賞したいと願っていました。
それなりに評価を得ていた北町貫多は、古本屋で見つけた『嘉村礒多の思い出』を読みふけっていくことに。
そして作家のありかたについて考えていったのです。
しかし、当の川端賞の発表の日、北町貫多が受賞することはなかったのでした。
西村賢太の『苦役列車』の映画版との違い
さて、先に述べました通り、西村賢太さんの代表作である「苦役列車」は、2012年に、森山未來さん主演で映画化されることに。
それでは、小説と映画版は、いったい、どこが違ったというのか、見てまいりましょう。
映画では、主人公の北町貫多役を森山未來さん、日下部正二役を高良健吾さん、そして桜井康子役を前田敦子さんが演じました。
ところが、このうち、北町貫多と日下部正二はともかく、桜井康子は映画だけのオリジナルキャラだったのです。
よって、北町貫多と日下部正二と桜井康子が海に行くシーンも小説にはなかったのでした。
まさか、小説と映画のあいだに、ここまで大きな改変があったとは、おどろきですね。
このように、今回は、芥川賞作家の西村賢太さんについて、プロフィール、代表作である『苦役列車』のあらすじ、ネタバレ、小説と映画版とはどこが違うのかについて、お届けしてきました。
こうして見てみますと、西村賢太さんといい、『苦役列車』といい、かなり個性的な存在だったことが分かるのではないでしょうか。
それだけに、西村賢太さんの早すぎる訃報が悔やまれてなりませんね。
もし、『苦役列車』をお読みになったことがない方がいらっしゃいましたら、この機会に、ぜひとも、手に取られてみてはいかがでしょうか?