作家の乗代雄介さんについて、特集していきたいと思います。
これまでに作家として、さまざまな作品を発表してきた、乗代雄介さん。
はたして、乗代雄介さんとは、どういう作家だったのか、これから追っていきましょう。
さて、乗代雄介さんといえば、芥川賞にノミネートされたことで、いま、話題です。
そこで、ノミネート作である『旅する練習』のあらすじ、感想、芥川賞にノミネートされた理由を、それぞれ確認していきましょう。
それではさっそく、ご覧ください。
1.乗代雄介の経歴
いよいよ、満を持して、2021年1月に決定の芥川賞・直木賞の候補作が、それぞれ発表されました。
芥川賞は、宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』、尾崎世界観さんの『母影』、木崎みつ子さんの『コンジュジ』、砂川文次さんの『小隊』、乗代雄介さんの『旅する練習』。
直木賞は、芦沢央さんの『汚れた手をそこで拭かない』、伊与原新さんの『八月の銀の雪』、加藤シゲアキさんの『オルタネート』、西條奈加さんの『心淋し川』、坂上泉さんの『インビジブル』、長浦京さんの『アンダードッグス』です。
ここでは、このうち、乗代雄介さんを取り上げていきたいと思います。
乗代雄介さんは、1986年6月18日、北海道の出身で、現在の年齢は34歳となっていました。
そんな乗代雄介さんは、中学生時代から創作活動をスタート。
法政大学社会学部メディア社会学科を卒業し、学習塾で働いたのち、2015年に、『十七八より』で、群像新人文学賞を受賞したことによって、作家デビューをはたしています。
2018年には、『本物の読書家』で野間文芸新人賞を受賞。
さらに2019年には、『最高の任務』で芥川賞にノミネートされました。
今回は2回目のノミネートということで、ますます受賞が待たれますね。
群像新人文学賞は、講談社の公募型文学新人賞。
これまでに受賞した作品は、2016年が、崔実さんの『ジニのパズル』。
2017年が、上原智美さんの『天袋』、李琴峰さんの『独舞』。
2018年が、北条裕子さんの『美しい顔』。
2019年が、石倉真帆さんの『そこどけあほが通るさかい』。
2020年が、湯浅真尋さんの『四月の岸辺』となっています。
なお、上原智美さんの『天袋』、李琴峰さんの『独舞』、湯浅真尋さんの『四月の岸辺』は優秀作となっていました。
これまでに乗代雄介さんが発表してきた作品は、刊行された作品が、『十七八より』、『本物の読書家』、『最高の任務』 、『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』、『旅する練習』。
雑誌に掲載された作品が、『さいごのしれい』、『旅する練習』となっています。
2.乗代雄介の『旅する練習』のあらすじ
乗代雄介さんの芥川賞候補作『旅する練習』のあらすじを確認していきましょう。
『旅する練習』は雑誌「群像」の2020年12月号に掲載されました。
(電子書籍ストアBOOK☆WALKER)
主人公は小説家。
人気のない風景を描くのが趣味でした。
一方、そんな主人公の姪は、サッカーが好きな小学生です。
そんな主人公と姪は、新型コロナウイルスに見舞われるなかでの春休みに、サッカーの練習と宿題をこなしながらの旅に出ることになったのでした。
3.乗代雄介の『旅する練習』の感想
以上が、乗代雄介さんの芥川賞候補作『旅する練習』のあらすじです。
最近の文学賞の受賞作は、設定が独特のものが多いですが、本作はいたってふつうの感じがしました。
一方で、新型コロナウイルスは2020年の世相をよく反映していますし、風刺的な一面もあるといえるでしょう。
このような乗代雄介さんの『旅する練習』が、芥川賞を受賞することになるのかどうか、発表の日がやって来るまで、しっかり見守っていくことにしましょう。
4.乗代雄介の『旅する練習』が芥川賞候補になった理由
それでは、乗代雄介さんの『旅する練習』が芥川賞にノミネートされたのはどうしてだったのでしょうか。
理由としては、もちろん、作品そのものがすぐれていたということも挙げられるでしょう。
しかし、その一方で、乗代雄介さんが、すでに、過去に『最高の任務』で芥川賞にノミネートされた経験があることも、一因ではないかと思われます。
このときは受賞には至らなかったものの、今度こそ受賞が実現すればいいですね。
乗代雄介さんは、このようにすぐれたキャリアの作家でした。
芥川賞にノミネートされるのも、これが初ではなくて、2回目ということで、頼もしい限りです。
早く芥川賞の選考結果が判明することが、いまから待ち遠しくてなりません。